ほかの人の名前なんて呼びたくない。




















名前を呼ぶことすら愛しい








































小鳥の囀りが耳に入り込んで来た。









まだ完全に覚めていない眠気をよそに


俺は瞼をムリヤリ押し上げた。







目を開くと


朝の光りよりまず先に

の寝顔が目に入った。












…」





俺が小さく呟いても


は目を覚まそうとはしない。











〜。さ〜ん。」











小さな、小さな声で


俺は名前をつぶやいて、を呼んだ。








今日からまた、帰って来れない程のハードスケジュールだ。








しばらくは、君の名前を呼ぶことも出来ないだろう。









愛しくて仕方がない君の名前を



口にすることが出来ない…。
















「翔…?おはよ…」







ゆっくりと目を覚ました


あくび混じりで俺に朝の挨拶をした。











「おはよ……」













だから今のうちに




たくさんたくさん呼ばせてほしい。









うざったくなったら言ってもいいから



の存在を


心に染み込ませたいんだ…。















「翔…まだ眠いの…?」



「もう起きたよ。…ずっとのこと呼んでた。」


「そうなの…?気付かないでごめんね。」



「いいんだよ。起きないように呼んだんだし」













変なの。って言いながら、

は笑った。











そんなが、無性に可愛くて



愛しくて…。







キスをして、抱きしめて、



また、名前を呼んだ。
















「何…?どうしたの?」


って…いい名前だね。」


「何それ??今日の翔、変だよ?」



「そっか?」











名前を…




の名前を呼ぶだけで

こんなにも幸せな気分に浸れる。






口にするだけで、


わたあめみたいにふわふわしたものが

心に積もっていくのが分かるんだ。







「翔…そろそろ起きよっか…?」


「ん……もうちょっとだけ…こうさせといて…。」






もう少しだけ


この幸せに包まれていたい。







少しだけでいいから、パワーを分けてほしいんだ…。















部屋に降りそそぐ眩しい光が

俺の名前を呼ぶの顔を


キラキラと輝かせていた。











そして俺はまた「・・・」と名前を唱え

の頬を撫でた。












いつまでものそばにいて



の中に存在していたい。















そんな儚い夢を



心の中で願いながら・・・・・・・・・・・・・・・・。





































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