「翔はいつも冷静だね。
こんなに緊張してるのは…私だけなのかな…」
そんなことないって。
俺の心臓の鼓動、伝わってる?
流れ星に願いをこめて
と付き合い始めて
もうすぐ一ヶ月になる。
まだまだ初々しい俺たち
もっと初々しいを前にして、手を繋ぐのがやっとな訳でして…
キスに到達なんてまだまだ先。
「え!翔ちゃんまだちゃんとチューしてないの!?」
そう驚愕した相葉ちゃんを俺はどついた。
「そういう事デケー声で言うなよなぁ〜!…傷つくから。」
「あ、ごめんごめん」
と言いながら俺の頭を撫でた。
相葉ちゃんは最近お幸せらしく、
バカ丸だしの幸せオーラで近寄ってくる事が日課になっていた。
「あ!から電話だ!ちょっとゴメンね翔ちゃん!」
と言いながら去って行った。
結構離れて行ったと思ったのに
あの引き笑いが廊下に響いて、俺の傷ついたハートに染み込んでいった。
ねぇさん…
そろそろダメですか?(コラッ)
俺そろそろ限界近づいてきてます。
今日は仕事が終わると会う約束をしていたので
俺は一目散に車を走らせた。
今日こそ
今日こそ
今日こそーっ!!!
「翔!」
駅前でが待っていた。
今日も相変わらず可愛い!
俺は
これでもかというほど爽やかな笑顔で車に向かい入れたけど
心の中では懸命に考えていた。
の唇を奪うまでのシチュエーションを。
の方をちらりと見た。
少しでも触れると
溶けてなくなってしまうんじゃないかというほど
柔らかそうで可憐な唇がそこにはあった。
やばいな。
そこしか視線がいかねぇ…
青春真っ盛りの中坊かっての!
俺はとっさにから視線をそらした。
「翔?どうかした?」
「あ、いや…なんでもないよ」
俺は自分の体温がふつふつと上がっているのが分かった。
それ以上を見ていると
無理矢理にでも奪ってしまいそうな気がしたので
運転中もなるべくの方を見ないようにした。
今日の俺
ホント変だ。
夜景が見えるデートスポットなる場所に着いたけれど
イチャイチャしているカップルは一組もいなかった。
実は相葉ちゃんに聞いた場所だったりするわけで…。
流石ですな、雅紀くん。
そこから見える夜景は
すさまじく広大で、綺麗で
一人でこんなテンパっているような小さな俺なんか
すぐに飲み込まれてしまいそうだった。
「キレイだね…」
が瞳の奥を輝かせて呟いた。
『君の瞳の方が何億倍もキレイだよ』
なんてクサイ事言う芸能人をたまに見るけど
今のに対しての褒め言葉には
ぴったりの台詞だと思った。
その時
が俺の手を握ってきた。
俺はまた心臓の鼓動が加速しているのを感じながらも
の手を握りかえした。
を見ると
も俺を見ていた。
ねぇ雅紀くん。
この雰囲気って……
OKってことでしょうか?
がそっと目を閉じるから
俺もそっとにキスをした。
俺にとっちゃそれは夢のような時間だった。
別にキスがそこまで重要ってわけじゃないけど
少しだけでいい
簡単な事でいい
と繋がっていたいと思った。
二人の唇が離れると
は顔を赤くしながら下を向いた。
「…?」
の名前を呼ぶと
一度こちらを見て、また下を向いた。
お前可愛すぎです。
「翔…緊張した?」
「え?」
そりゃあ緊張しまくりですとも
心臓が破裂しそうなくらい鼓動打ってたくらいだかんね。
「緊張…したよ」
「ホントに?
仕事の時にも見てて思うんだけど…
翔っていつも余裕があるように見えるよ…」
そう言いながらは
照れ隠しのようにそっぽを向いて、続けた。
「私は…好きすぎて
緊張しまくって
…どうにかなっちゃいそうだよ」
…。
俺は後ろからを抱きしめた。
「俺も…の事スゲー好きだよ?」
「つーかさ、俺ってそんなに余裕あるように見える?
いつものこと考えすぎて、頭ん中ショートしそうなんだけど」
「え…」
が振り返った。
「ホントに?」
「嘘ついたってしょうがないっしょ」
「う…うん!」
が俺を見て笑った。
キラキラと目を伏せたくなるほどまばゆいネオンが
俺たち二人を照らしていた。
の瞳はやっぱりそれ以上に輝いていて
俺はその瞳に吸い込まれてしまいそうだった。
あれ!?
雅紀くん!!
もしかして…本日のダブルチャンスですか?
そう思いながら、ゆっくりとに顔を近づけた。
その瞬間、
「あ!流れ星!」
無邪気な子供のように叫びながら
は俺から顔を背けた。
は願い事をする体勢に入っていて
がもうこちらを見る気配が無いので
俺はしぶしぶ夜の空を見上げると
先ほどの夜景なんて、俺よりちっさく見えてしまうんじゃないかというほどの星の数だった。
こりゃ俺も負けるな。
心の中でそう呟いた。
「こんな素敵なところに連れてきてくれて本当に嬉しい!ありがとう!」
が本当に嬉しそうに言いながら笑った。
ちぇっ!
もいっちょキスしてやろうと思ったのに
俺の心の中はその笑顔でいっぱいになった。
は俺にとって特別な人。
俺の心の加速度を勝手に上げる事が出来るのも
一人だけ。
俺の視線を盗んでいってしまうのもしかいない。
こんなにも愛しくて
抱きしめたくなってしまう衝動にかられるのも
の他に誰もいないよ?
その時
俺とが見上げる夜空に
宝石の砂のように舞う流れ星が現れた。
俺はその流れ星に願いを込めた。
これからも、の笑顔を俺に捧げてください。
それだけで俺は生きていけるから。
と一緒に生きていこうって強くそう思えるから。
そう願いながら俺は
隣にいたを強く抱きしめた。
抱きしめずにはいられなかった。
俺の鼓動の高鳴りが
に伝わっていくのがわかった。
――――――end――――――
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