『今…誰かと一緒?』









『今…一人だよ…?』











この些細な会話が


さっきから何度も

俺の脳を駆け巡る。















街で見た光景と、携帯での会話。
















この二つが別々に起きていたら


まだこんなに不安にならないのに……。











ニノとが二人で街にいたけど

俺は知らない。









俺が電話した時には

本当には一人でいた。









こんな風に


別々の出来事だったら良かったのに…。





そしたら


ウソをついた事にならないっしょ?















それでも、やっぱり仕事場でニノを見かけると


あれは現実なんだと思い知らされ



ニノの顔を…直視出来ない自分がいた。









ニノとのこと疑ってる。







サイテーだよ…俺…。












「ねぇ…ニノ…。」





「ん……?」















一人で考えても分かんねぇや。






本人に聞いてみない事には

始まんねぇよな。










「聞きたい事があるんだけど…。」



「何?…どうしたの?」









ニノの顔を見ると


何事もないような顔をしていたので

俺は少し聞きづらくなって













「この前の日曜さ…渋谷いた?」







ちょっと回りくどく言ってみた。










「渋谷…?うん…いたよ?」







「俺も偶然いてさ…ニノ…見かけたから…。」








「え……。」










俺がそう言うと


ニノは少しだけ目をそらした。









「一緒に…もいた…よね?」








ニノは少しだけ間をあけ


こちらの様子を伺いながら


「うん。…いた。」








俺にこう答えた。




















やっぱり…人違いじゃなかったんだ。






自分の中のどこかで

認めていたはずなのに


本人の口から本当だって聞くのは


やっぱりちょっとくるものがあるな。










「なんで二人でいたの?」











あーもうなんか…


ちょっと俺ウザいやつかもしんない…。



でも俺、彼氏だもん。



聞いたって…いいよな??














俺が予想するニノの返事は

きちんとした理由と、事情。










こういうところで壁を作って、


事態を悪化させるような男じゃない。



俺はそう信じていた。










まさか今日、

を疑いの目で見なければならない

そんな誕生日になるとは


その時はまだ、思ってもなかったんだ……。
























































1月25日。






俺の24回目の誕生日。








の部屋で祝ってくれるということで


俺の仕事が終わった後に

同じく仕事終わりの

車でひろって行く事にした。


















「遅くなってごめんな…寒かった?」





「ううん。さっきまでお店の中にいたから」





「そっか…。」







そして車は走り出した。










嬉しそうな顔をする

気まずそうな笑顔をこぼす俺。




全くもって真逆な気分の

俺たち二人を乗せて――――――――――







































「翔…どうかしたの?」













車を走らせて10分。





何も話せずにいた俺に気付いて

は尋ねてきた。









「え…?あ…いや…。どうもしてないよ。」







バレバレ感たっぷりで返事した俺に


は小さく頷いて、再び前を向いたけれど

その表情には確かに、多少の戸惑いが見えた。











だってさ…ニノにあんな事を言われたら

にどう接したらいいのか…分かんねぇんだよ。






聞き出したいけど

どう聞いていいのかイマイチ分かんないんだ。












































『なんでって…。なんでだろね。』






















これに加えて、あのニヤけ顔。






あんな風に言われて

俺はどうすればいい訳?


一人で推理しろってか。








思いつく事なんて…一つしかねぇじゃん。
























でもそんな事をどうしても認めたくない自分がいて

どうしていいのか分からず

また無言のまま、車は無情にも走り続けていた。


































3話に続く。



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