ちゃんゴメンね!待った?」





久々に口にするこの言葉に


「ううん!全然!」







これまた久々に聞くこの言葉が返ってきて

ちょっと嬉しかったりしてね。








ちゃん、今日は何に付き合ってほしいの?」




「うん…あのさ今度の水曜日、翔の誕生日でしょ?

実はその日、私と翔が付き合って半年記念なの。

だから何かプレゼントしようと思ったんだけど…。

何買えばいいのかイマイチ分かんなくて…」







そう俺に話すちゃんの表情は

喋り方でも分かるように





すごく女の子らしかった。








一人の女の子をこんな表情にさせるとは…


さすが翔くん。





ウチの彼女にもこういう可愛いらしい部分を持ち合わせてほしいもんです…。




あ、失礼。







「なるほどね。                             

うん…翔くんが欲しそうなもんかぁ」








「うん………」








「あ!」






そこで俺は一つ思いついた。



これは翔くん絶対に喜ぶって!


「フィギ…「記念日だからね?!」







……ハイ…。
















「じゃあとりあえず・・・歩こうか。」






「うん、そうだね。」







気を取り直して



俺たちは歩き始めた。










季節は年明けの忙しさを忘れ



空からは

目を覆いたくなる程の眩しい日差しが降り注いで



ちゃんの透き通るような白い肌を

さらに白く照らしていた。










「あ、今の季節に調度いいセーターなんてどうですか?」






俺がそう聞くと

ちゃんは首を横にふり





「セーターはダメ!   クリスマスに、手編みをプレゼントしちゃったの」








「あ、そうですか…。」








ちゃん、顔がにやけてますよ。





そして次は、洋菓子店の前で俺は足を止めた。






「クッキーとかはどうかな?」







これなら翔くんも喜ぶんじゃないの?



というわけで勧めたものの


ちゃんは再び首を横にふり








「この前のデートで手づくりクッキー持ってったの。

かぶっちゃうからダメ!」









「そ…そうなんだ。」







ラブラブなんですね( ̄〜 ̄;)。




















それからいろいろ店を回ったけれど



ちゃんの首が縦に振られることはなく


時間はあっという間に過ぎ去った。









「ねぇちゃん、そろそろ昼だよ?なんか食べません?

俺腹減ってきちゃった。」






「そうだね。じゃあそこ入ろ?」




「うん」







とある喫茶店に入りながら

俺はふと思った。













なんかこれ…デートみたいだね。










あは。ゴメンね翔くん。あはは!








とちょっと頭がおかしくなったところで


俺とちゃんが頼んでいたハンバーグが運ばれてきた。








ふわふわと舞う湯気を前にして

俺は一つの疑問をかこちゃんに投げ掛けた。


















「ねぇちゃん…」


「ん?」



「翔くんの、どこを好きになったの?」





ちゃんは

飲みかけの水を少しだけ噴き出した。









「え?なんでまた急にそんな…」






「いや…なんとなく。」









それからちゃんは


少しの間だけ考えて


俺に話してくれた。









まぁ…100%ノロケなんだけど。


















「翔の…」








「うん……」





「翔の…誠実なところ…」




「うんうん」








スゴイな翔くん…。


ちゃんの前ではジェントルマンなんだね。







「翔の…ちょっとドジなところ」








ちょっと俺は噴き出して



「…うん」






聞き役を続けた。








「他にもいっぱいあるけど…それはあんまり重要じゃないの。

一番嬉しくて、翔のことを大好きだと思えた理由は…」















ちゃんは


少しだけ赤く染まった頬を恥ずかしがるように


窓の方を見て


遠くの町を眺めた。














「翔が…私のことを好きでいてくれること…。」











そう話すちゃんの瞳にはきっと



大好きな大好きな翔くんを映しているのだろう。





ちゃんの瞳の奥が


幸せそうに輝いていた…。













「なるほどね…。」


































ノロケ混じりの昼食を済ませて

(俺が聞いたんだけど)


俺たちは再び街へと歩き始めた。






その後プレゼントはなんとか決まり

俺もなんとか無事に役割を果たせた。













「今日は付き合ってくれてありがとう!

本当に助かったよ」




「いえいえ。お役に立てて何より。」













夕日が空を埋め尽くす時間になって

俺たちがそろそろ帰ろうとしていた時。












♪ー♪ー♪












ちゃんの携帯が鳴った。














「あ!翔だ。ちょっとごめんね。」










ちゃんは俺に小さく謝って


携帯に出た。








「もしもし……翔?」







ちゃんは少し不思議そうな顔をしていた。








「今…?」









どんな会話が繰り広げられてるのかは分からないが


ちゃんは俺に背を向け

小さな声で返事をした。










「今…一人だよ…?」











あれ…?






もしかして翔くん…。


可愛いこと聞いちゃったりしてる?











するとちゃんが


片手を顔の高さまで上げて

『ごめん!』というポーズを取ったので

俺はそそくさと退散することにした。










俺たちはそのまま街で別れて

それで平穏に終わると思っていた。


















しかし、現実は厳しくて


東京も意外と狭い都市だと

感心するくらいだった。










































全然気付かなかった。











まさか翔くんが

偶然俺たちを目撃して



変な誤解を抱いたまま

ちゃんに電話をしていたなんて……。

































--------------------------------------
2話に続く。



Web拍手かBBSにて一言だけでも感想お待ちしております^^♪