コンクールが明日に迫ったある日、








 「大野くん今日なんかそわそわしてるね」






 翔くんが言った。







 「そぉかな?」






 「うん。さっきからまばたき凄いし」









 え?…うそん。











 俺は目を必要以上にパチパチさせながら

 今日の仕事を済ました。










 時間は0時を回っていた




 さすがにもう帰ったかな。


 と思い、荷物をまとめて帰ろうとした時










 何かが身に迫るかのように




 俺の携帯が鳴った。










 画面には


 の番号が点滅している。









 どうしたんだろ


 こんな時間に・・・。














 「・・・もしもし?」





 「あ、智くん?」






 心なしか


 の声は少し震えていた。










 「何かあった?」







 「ううん…今から会えますか?」










 「今から?…いいけど…」









 確実にいつもと違っていた。




 俺は公園まで急いだ










 はベンチに座って俯いていた。







 さっき話した時に思った通り

 泣いているようだ。







 俺は隣に座って









 「何かあった?」




 と恐る恐る聞いてみた。







 「…怖くなってきてしまったんです」






 「明日の…コンクールの事?」






 は小さく頷いた。










 俺も昔、なにかのコンクールに絵を出品した時期を思い出していた。







 「…緊張するよなぁ」






 と言って一息ついた。








 そして、小さく震えているの肩を抱き寄せた。










 「さ、智くん?」









 は驚いていた。





 自分でもなぜこんな事をしているのか理解出来なかった。





 そういえば、に初めて会った時もそうだった。




 普段は知らない女の人に自分から話しかけるなんて絶対しないのに






 どうしてに対してはそれが出来るの?



 もしかして俺…やっぱりの事好き?








 そうだとしたら


 俺にいま出来る事って何なんだろう?






 泣いてる君は

 今なにを望んでるの?










 そう思って


 俺は少し腕に力を入れた。









 「…智くん」








 「あ!ごめん!」







 と言いながら

 俺は焦って手をはなした。





 恥ずかしい


 …引いたかな?(T_T)












 「…ありがとうございます」






 「え?」





 俺は謝る構えを取っていたのに

 返ってきた応えは意外なものだった。













 「ありがとうございます!元気…出ました」










 「うそ?あれで?」




 あの時の俺は多分、まばたきが速かったと思う










 「あれだから…元気が出たんだと思います♪」






 って言いながら

 は笑った。









 いつもの笑顔だった。












 「…」






 「はい」






 「俺、のこと好きかも」








 え!?





 「え?」






 の驚きと俺の心の叫びが重なった。



 そんなの重ならなくていいのに(T_T)








 なんで急にこんな事を言ってしまったんだろうか


 本当に自分のこと理解出来なくなってきた…。(T_T)











 「ごめん!今の忘れてもらった方が嬉しいかも…」





 俺…またまばたき凄そうだわ










 「私も…」








 「ん?」






 を見ると



 あまり日焼けしていない素顔を真っ赤にさせて

 手で隠すように覆っていた。










 「私も…好き?かも…しれないです」








 「えっ!」









 これはまたまた予想外の展開になっていた。









 



 俺のこと好き?





 俺も



 のこと好き?



 え?







 はっぴーえんどですか?









 「そ、そっか…」





 「は、はい…」











 俺はふと時計を見た。






 針は一時半を回っていた。










 「!」








 「はい!」









 「帰らなきゃ!!」









 「え?」







 「もうこんな時間だよ!!」








 「え?うわっ!本当だ!!」








 「俺!送ってくから!」






 「あ、ありがとうございます!!」








 俺はその空気に恥ずかしくて耐えられず


 半ば強制的にを帰させた。












 の家に近づいた頃










 「…」






 「はい…」









 「明日…自信持って行けよ?」







 俺にはこれが精一杯だった。









 もう皆さんならお分かりの通り





 まばたきしまくりでした。










 「…はい」





 俺の心臓がなんとか落ち着いてきた頃



 の家に着いた。









 でもなぜか


 家のドアを開けようとせず振り返った。









 「?どうした?」






 「……。」








 は顔を上げて


 俺の目をじっと見た。






 外は真っ暗な闇だというのに



 の瞳の奥には

 どこか希望に満ちた青空が見えた。












 「…行ってきます」





 と言いながら

 俺の頬にくちびるを寄せた。




 「…!!」










 小さく笑いながら

 は部屋に帰った。









 一本取られた…。














 数日後。


 からの連絡はまだ無かった。






 けど、会いたくなった。





 あの時の一本を

 返してやろうと思って。






 この前きちんと言いそびれた事、




 言わなきゃいけないと思って。










 公園にがいた。








 「!」






 は振り返った。







 俺は

 考える間も与えぬままを抱きしめた。












 、改めてきちんと言うよ








 俺と








 付き合ってくれますか?




































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