君が好きだったタバコの臭いが
今でも私に染み付いて離れない…。
和也と別れて、2週間が経った。
今日もテレビを付ければ
嫌でもあなたが目に入る。
「忘れて」なんて言っておいて…
私の前に現れないでよ。
仕事が終わって
部屋に帰った。
明かりを付けて、
部屋全体が見渡せるようになったのと同時に…
和也がテレビの前で
熱心にゲームをしてる姿が
幻として現れた。
「…これって…結構重症かも…。」
そう、小さく呟きながら
ベットに倒れ込んだ。
瞼をおろすと
思い浮かぶのはやっぱり、和也のことばかり。
このベットで
和也に抱きしめられた感覚が
今でも体に残ってる。
キスしてくれる時の優しい笑顔も
まだ思い出せるよ。
和也が「」と、私の名前を呼ぶときの
あの高揚感。
何気なく呼ばれるだけで
心臓がドキンとなってたこと。
和也は知らないでしょ…?
私が落ち込んだ時
よしよしと頭を撫でてくれることが
すごく嬉しくて
もう元気になってたのに
泣きまねしてたの。
和也、気付いてなかったでしょ。
実は春菊が嫌いとか
割り箸割った後、こすって使う癖とか
野球のルール、本当はよく分かって無かったこととか…。
和也に…言いたいこと
知ってほしいこと…まだいっぱいあったのに
和也はまだ、
1/3の私しか知らないんだよ…?
和也に、全部知ってほしかった。
和也のことも…………
食べ物で好きな物とか、嫌いな物とか
ゲームが好きな理由とか…
私のこと…どのくらい好きだったとか………。
もっと、沢山のこと知りたかった。
和也ともっと……ずっと一緒にいたかったよ。
自分の本音が溢れて来て
それと同時に、涙が溢れて来た。
「そういえば…ちゃんと泣いてなかったな…。」
和也のメモリが入ったままの
女々しい携帯を胸に抱きしめて
微かな期待に思いを馳せて
頬に涙の通り道を与えながら
静かに眠りに入った。
明日は今日より…笑えてるかな…?
いいことあるかな…?
私の心に…晴れマーク…出来るかな…?
毎晩同じことを願いながら
ベットに沈み込む私は
枕に染み付いたタバコの臭いに心地よさを覚えて
涙を流した。
明日の夜もきっと同じ。
携帯を握りしめて
和也からの電話を待ってるの。
まだ希望はあるんじゃないかとか
考えてしまうの。
…そうして、私はあなたの事を忘れる事が出来ないでいた。
真冬のはずなのに、寒さを微塵も感じさせない
1月下旬の夜だった。
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