朝はいつも緊張する。
それは、大好きな人がそばにいるからってだけの理由じゃない。
分かってるのかな…?和也。
それは君のせい
年明けの冷たい風が
二人の眠る部屋にもするりと入り込んで来た。
寒さで目が覚めた私が目をあけると
和也はいつもの体勢。
片肘をついて
私をじーっと見つめるポーズ。
「和也…おはよ…。」
私がまだ眠たそうな目でそう言うと
和也は優しく微笑みながら
「おはよう。」
そう言って、下がりかけてたシーツをかぶせてくれた。
「寒くない?」
「うん…寒くない。」
いつもはゲームやらギターに夢中で
全然相手にしてくれないのに
朝はいつも優しくしてくれるから…
ギャッブにドキドキすると同時に
嬉しくなって
私はいつものように
頬が赤くなってしまった。
―――――和也のせいだよ。
私はそれが自分でも分かって
恥ずかしくなって顔を隠していると
和也が私の手をどかして
頬を撫でた。
「…朝になるといっつも顔が熱くなるね」
「そっ…そんなことないよ…。」
私の顔が熱くなる理由が
和也だって事が…
和也が毎朝、じーっと見つめてくるから照れちゃうってことを
和也自身、全く自覚なし。
「和也のせいだよ?」
「え…何で?」
「和也がじーって見るから、
恥ずかしくなっちゃうんだよ。」
私が小さくほっぺを膨らますと
和也は人差し指で意地悪に突いた。
「…可愛い。」
「っ…可愛くない!」
不意打ちに呟かれたので
私はとっさに反発した。
「可愛いよ?」
「可愛くないってば」
たとえ和也が
からかうように言っているのが分かっていても
体がどんどん熱くなっていくのが分かる。
心が勝手に喜んで
顔がほころんでいってる。
和也の何気ない一言で
こんなにも嬉しくなれるのって…
私は本当に、和也が好きなんだなぁって思う。
私は恥ずしさに耐えられなくなって
シーツを頭までかぶった。
「寒いの…?」
それでも和也って…
ドンカン過ぎるんだか
ただの意地悪なんだか。
多分、後者だとは思うけどね。
すると、和也も私のマネをして
シーツの中に頭を隠した。
薄暗いシーツの中で
気付くと、和也と目が合っていた。
「どうしたの…?。」
甘くトロけそうな瞳で
彼はじっと…見つめてきた。
「な…なんでもない…。」
心臓の鼓動が
速度を増した。
優しいと思っていた表情はつかの間。
和也はいつもの勝ち誇った瞳で私を捕らえて
一瞬で私を夢中にさせた。
そのまま私を抱きしめて
不意打ちをつくように
キスをした。
「ふふっ…顔赤いよ。」
「…知ってますよ!」
それから和也は
私を見て悪戯に笑った。
高鳴るハートのドキドキも
熱が昇る頬も
全部、ぜーんぶ誰かさんのせいなのに
たまに負けたような気がして
すごく悔しくなるのに
私はそれでも、和也が大好きで、嬉しくてたまらない。
悪戯に笑う和也の顔もムカつくくらい大好きだし、
ドキドキしたり
赤くなっちゃう理由が
和也である事がすごく嬉しいし
すごく幸せな事だと思ってる。
でも、
それを口にすると和也が調子に乗ってしまいそうで悔しいから
和也にはまだ、しばらく黙っておこう。
きっとまだ遠い未来。
和也が今の私と同じように、
「悔しい」って思えるくらい
私が一枚上手になって
和也の頬を赤く染めれるような日がくるまで
和也には、悪者でいてもらうね。
何??そんなの、ヒドイって…?
だって、
和也が私を夢中にするのが上手過ぎて悔しいから、
私も仕返ししたいんだもん。
……いつまでも負けを認めない和也が悪いんだよ?
ぜーんぶ、君のせいですからね。
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