「落ち着いた?」







向かい合わせに座ったその人は


優しく私に問いかけた。





ここはこの人の家…らしい。







私があれからずっと泣きどおしだったので




この人が私を落ち着かせようと連れてきたのだ。










初対面の男の家に行くなんて


非常識に思われるかもしれないけど




あの時の私に、もうそんな事を考える余裕も無くて















屈託の無い優しい瞳に





私は甘えてしまった。





















私がふとその人を見ると



その人はコーヒーを一口飲んで

私の方を見た。








私がとっさに目をそらすと

その人は話し始めた。























「名前…なんていうの?」








あ、そういえば名前言ってなかった…




















です…」







「俺は…二宮和也。

呼びにくい名前だけど、好きに呼んでくれていいよ」













「あ…はい。」











顔を見た時にも思ったけれど





この人…知ってる。











「テレビの…」





「そう!一応ね、職業は嵐です。」









「あ…私は…普通のOLです…。」






何も考えずに私がそう言い返すと





その人が笑って






ちゃんて面白いね」







と言った。





あれ?

そういう意味で職業教えてくれた訳じゃないのかな。










と照れ笑いをしながらその人を見ると


その人も笑っていた。










優しくて






優しそうで






私はその笑顔に見とれてしまっていた。











そして何分か経った頃

私は我に帰って…気付いた。









「あ!私…ごめんなさい!そんな人にこんなご迷惑かけちゃって…。もう帰ります!」









何やってるんだろう私…






他人様にこんなに迷惑かけて。












私はすぐさま玄関に向かった。









すると

その人が近づいて来た。














「大丈夫…?」




「はい!もうすっかり!」













大丈夫なんかじゃなかった。





まだまだこの人にすがりたくてしょうがなかった。




でも…よりによって…芸能人の人だし…





迷惑かけちゃ…



ダメだよね。






ガマン







ガマン…。








『それでは…失礼します』




そう言おうとした時

その人が言った言葉は







明らかに反則だった。
































「泣いてた時……誰かに…助けて!って

叫んでるみたいだったから。


俺いてもたってもいられなくなって声かけちゃったんだ。

すげぇ辛そうだったからさ…。



でももう大丈夫なら良かったよ。…元気でね。」












その人がそう言い終わった頃には


もう涙が流れてしまって


どうしようもなかった。










ちゃん?」












その人も背中を向けている私の涙に気付いてしまった。











「私…なんでフラれちゃったんだろ?


私…何かしちゃったのかな?




私…私は……大好きだったのに。」











私がそう言うとその人は






後ろから


それはそれはもう優しく




抱きしめて





包み込んでくれた。

















そんなの反則だ。









イヤでも甘えてしまう。







頼ってしまう。












この腕を離したくないって












願ってしまう。






















----------第2話に続く----------



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