蒼い地球の上で
「ねーねー和也くん!」
「ん?」
冬の柔らかな夕日が教室の中にいる俺たちを照らして
身震いする程の寒さを紛らわしてくれている頃。
俺と
クラスメートのは
日直の役割を果たす為に放課後ふたりで残っていた。
「何?」
「地球ってさ、たくさんの惑星がぶつかり合って出来たんだって!」
夕日の日差しを気持ち良さそうに浴びながら
は誇らしげな瞳で言った。
「だってって…。
今日の理科で習ったとこじゃん。」
「あ。授業聞いてたんだ?」
「聞いてたさ!真面目でしょ?」
「あはは!うん!
私てっきり寝てるのかと思った!」
が
零れるような笑顔で笑った。
俺は
この笑顔が大好きだ。
キラキラしてて
可愛くて。
ずっと見つめていると
心臓がバクついて
顔が熱くなっていくのが分かるんだ。
その笑顔を
俺だけのものにしたくなる。
つまり、俺はが好きってこと。
だから今日は朝から一日中、
日直の仕事について質問してくるに
いちいち体をびくつかせていた。
「でもさ、地球ってやっぱすごいよ!」
「まだその話題ひっぱるの?」
ニヤけそうになる顔を一生懸命隠しながら
俺は日誌を着々と書き進めていった。
「だってさ、地球が出来てからも沢山の隕石がぶつかって来たんだよ?
それなのに、生物は絶滅しないまま生き残ってたの!
すごい奇跡だと思わない?」
「うん。そうだね。」
「太陽からも調度いい距離だったから、
気温も理想的なの!
だから海も無くならないで、
私たちのご先祖様も生きることも出来たのかなぁ?」
「うん。そうかもね…」
ニヤけていた自分はどこへやら。
今度は緊張を隠すようにして日誌を熱心に記入していたら
に対しての返事がおろそかになってしまった。
「聞いてる?和也くん!」
「え!?うん!聞いてる!」
は少し不機嫌そうに
ほっぺたを膨らまして机に寝そべった。
俺は日誌を遮られたうえに
目の前にいるが寝そべったまま視線をこちらに向けるので
俺はどうしようもなく視線を外にずらした。
「すごいことでしょ?
その先祖が生き延びてなかったら、
…私たちも出会えなかったんだよ?」
「え?」
それって…?
いや!そんなはずはない!
良い方に考えようとする自惚れな自分に喝を入れつつも
顔が赤くなるのを感じながら
の次の言葉を期待して待っている自分に気付いた。
「和也くんは……………。
私に出会えなかったままだとしても
普通に何にも支障が無いまま
過ごしていくのかもしれないけど………。」
机から体を起こしたは次に
肘をついて俺の視線を覗いてきた。
心臓のバクバクが急速に速まった。
「私は………。
和也くんに会えて…幸せだよ?」
「し…幸せ?」
俺は、自分に何が起こっているのか分からなかった。
分からなくて
どうしてもはっきり理解したくて
俺はに問い掛けた。
「どうして…俺に会えて…幸せなの?」
「え…?」
「なんで…?」
「なんでって…」
夕焼けと重なるは眩しくて
直視することが出来なかった。
そしては
あの、俺が大好きで仕方がない笑顔を見せた。
「和也くんを………好きになれたからだよ。」
「え……。」
俺の思考回路が
完全に停止してしまった。
いや…その言葉を期待していたのだけど
ぬか喜びになるのは嫌だから
正直期待はしていなかった。
でも………が…
俺を見て
笑ってくれて
俺のことを好きだと言ってくれた。
これ……相葉ちゃんのドッキリとかじゃないよね?
それから、は小さく笑って
俺の頬にキスをした。
そして何事も無かったかのようにして
「日誌、終わった?
じゃあもう帰るね。」
と言い残して廊下へと向かった。
何か
何か言わなきゃ…!
焦ってを呼び止める為に俺は
今日の授業内容を懸命に思い出していた。
「!」
は少し驚いた様子で振り向いた。
「なに?」
「地球ってさ、今度いつ隕石がぶつかってくるか分かんないんだって!」
「うん…知ってる」
「次…もしかしたら明日…。
隕石がもしぶつかってきたとして…
言えなくなったら嫌だから
今のうち言っとくよ」
「…………うん。」
どうしよう…
すっごいよ…心臓…。
「俺もさ……が好きだから…!」
「え…」
は一瞬下を向いて
くるりと回って俺に背を向けた。
俺はにゆっくりと歩み寄った。
コツン…
ドクン…。
コツン…
ドクン…。
自分の足音なのに
音がいちいち心臓に響いて
鼓動が高鳴った。
「…?」
「隕石がまたぶつかってくるのって…本当?」
あ、そっち…?
「た…多分…本当」
「和也くんが…私のこと好きっていうのも…本当?」
「本当だよ。」
俺が照れながらそう言うと
が、満面の笑みで俺の方を見た。
今までこんなに幸せだった事があっただろうか……。
俺まで笑顔になってしまった。
「じゃあ…今日は一緒に帰ろう?」
そう言いながら
は俺に手を差し延べた。
俺はその手を取って
初めてに触れた。
心臓はもちろんのこと、もうバクバクで
破裂寸前だったけど
気持ち的には幸せの絶頂だった。
「寒いね…」と寄り添ってくるが可愛くてしょうがなくて
俺はさっきのお返しと言わんばかりに
に横からキスをした。
一瞬は驚いてたけれど
すぐに笑顔を見せてくれた。
それからの俺はというと
が隣りに居るということ以外なにも変わっちゃいないのに、
今までの平凡な日常がガラリと変わった。
毎日が楽しくてしょうがなくて、朝の光を心地よく感じる事が出来た。
毎日が、無数の星がちりばめられたように
輝いて、キラキラしていた。
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