「そうだね〜…」











 リーダーが腕を組んで考え込んでいた。







 こういう時にはやっぱりリーダーが頼りだよね!




 だよね?






 あれ?…リーダー!?









 「寝ちゃったね」



 近くでゲームに熱中していたニノが言った。







 やっぱり?





 「リーダー駄目じゃ〜ん」









 俺はうなだれた。










 あの日からずっと




 あの別れ際の瞳が頭から離れなかった。









 あのなんとも言えない…





 淋しそうな瞳が…。










 「淋しそうな瞳?」


 ニノがぽつりと呟いた。



 「え!?なんで分かったの!?ニノもしかしてエスパー!?」




 「いま思いっきし口に出して言ってたよ?」





 え!うそん。









 「ねぇニノ!俺どうすればいいと思う?」







 ニノもリーダーの隣でちゃっかり聞いていたので

 内容は何となく分かっていると思う。










 「俺も前にそういう事あったよ…」


 え!








 「え!?嘘!そんときどうした!?」








 俺は

 座っていた椅子が倒れてしまうんじゃないかというほど

 身をのりだして問いただした。






 ニノがどうやってあの状況を逃れたのかが

 すごく気になったから。











 「俺も…相葉ちゃんと一緒の事した」






 あ…




 「…そっか」








 ニノが思い詰めた様な表情をしたので

 それ以上聞き入るのはやめた。








 俺が静かに俯くと

 ニノがそれに気づいて、俺を慰めるかの様に








 「でもあいつも後から分かってくれたからさ!ちゃんも大丈夫だと思うよ?」








 ニノは優しく笑った。







 俺はそんなニノの笑顔がすごく嬉しくて




 「そうだよね。ありがとう!なんか今日は優しいね〜」






 と言いながら抱き着いた。






 「でしょ?今日から俺が嵐のお母さんだから」







 アハハ!!






 ありがとうニノ





 俺、頑張ってみるよ。













 俺は携帯を取り出して

 メモリーからの番号を出した。











 「あ、もしもし…?」








 「…うん」



 あれだけ自信満々だったはずなのに、

 の声を聞くとなぜか緊張してきてしまった。










 「今日…仕事早く終わるからさ、会わない?」







 「…うん、分かった。」












 そのあと俺らは近くのファミレスに待ち合わせをした。






 そんな目立つ所だとまた見つかると

 は言ったけれど




 俺はいいと言った。







 もう俺には決心している事があった。



















 −−−−−−

 ファミレスに着くと

 さすがに騒がしくて

 さっきの決心もどこかに飛んで行きそうだった。









 けれど

 席に座って不安そうに俺の事を待っているを見て

 そんな気持ちはどこか遠くに吹き飛んだ。












 「ゴメン!待った?」





 「ううん!全然」






 振り返るの目を見ると


 泣いた後のように赤くなっていた。










 俺はオレンジジュースを頼んで


 いきなり本題に入るのはやっぱり少し怖かったので

 別の話を始めた。







 仕事の話しじゃなく


 嵐内であった面白い出来事を身振り手振り話した。







 は笑っていたけど







 どうなんだろ…



 その笑顔は本当の笑顔なの?





 と思われるほど、少しぎこちなかった。



 も少し緊張しているようだった。













 「…」





 俺は

 そろそろ本題に入ろうと思って

 の目をじっと見た。






 「な、なに?」









 その後も気付いたのか

 俺の目を見つめかえした。








 「俺さ…」




 「ねぇ雅紀!」




 「え?」






 が俺の次の言葉を遮るように急に話し始めた。










 「嵐ってさ、新曲まだなの?」








 「え?あ、俺もよく知らない」




 「え!なんで〜?メンバーでしょ?」







 「う、うん。ハハハ…」








 変な沈黙が出来た。





 「、あのさ・・・」


 「コ、コンサート!凄かったらしいね!」







 まただ。





 「あ、うん!頑張ったよ。ねぇ、俺さ話したい事があって」






 「聞きたくない!」








 「え?」






 なんで?











 「この前の事があって…私の事がお荷物になったんでしょ?」




 え?






 「そんな事無いよ!」







 「別れたいとか…言うんでしょ?」







 は泣いてしまった。







 俺も泣きそうなくらい情けなくなってしまった。






 そんな悲しい事を思って

 今まで目を真っ赤にさせてまで泣いていたの?






 俺サイテーじゃん。





 をお荷物なんて思った事


 今までこれっぽっちも無いんだよ?






 きっとこれからも一生思わない。












 それを言葉にしなきゃ





 の涙を止めなきゃ!








 そう思った俺からとっさに出た言葉は









 あまりに分かりやすく。




 しかし

 その言葉はの涙を止める魔法の言葉となった。




















 「俺、の事・・・好きだよ!」

















 涙が止まったのはいいけれど、あまりに大音量で言ったので

 周りの客が振りかえってしまった。









 また、あの声が聞こえた。







 「ねぇねぇ!あれってさ・・・」





 「ドラマの撮影かなぁ??」




 「本人だよね!彼女いたんだ〜。ショック〜」





 遊園地にいた時と同じような声が、ザワザワと響いていた。









 でも俺はなんとも思わなかった。




 に今の気持ちを伝える事が出来たから


 もう他の目は気にしないと決めた。






 それが俺が固めた決心だった。














 「もしかしたら・・・またあんな事おきちゃうかもしれない。

  またを傷つけるかもしれない。

  でも俺はが好きだからさ、傍にいてほしいよ・・・」





 今度は俺が泣きそうだった。
























 その時。










 「すみませ〜ん…」












 お、…来た。







 「嵐の…相葉くんですよね?」







 

 ほら来ちゃった!

 というような顔をしていた。







 こんな時



 以前の俺ならまた知らぬフリをしていたかもしれない。







 でも今日の俺は違う


 の為に変わろうと決めたから









 それが俺が搾り出した決心だ。






















 「はい!そうです!」















 俺は聞いてきた女子高生らしき女の子に答えた。








 普段から丸っこくてかわいらしいの瞳は


 今にも飛び出てくるんじゃないかというほど大きくなっていた。












 これで帰ると思いきや

 女子高生らしき女の子はさらに質問してきた。












 「そちらの方は…彼女さんですか?」









 えらくつっこむなぁ…










 をちらりと見ると

 下を向いて俯いていた。






 その時




 俺の頭の中にはあの時と同じ光景が広がった。








 ここでまた否定したら

 またを傷つけるかもしれない







 同じ事の繰り返しだ。










 俺はが好きなんだよ?



 それを隠してどうするってんだよ!


















 他人に否定する事で

 自分自身に嘘をついているような気がした。








 だから俺は





 俺は








 自分自身に嘘をつかない事にした。










 「はい!そうです」





 断言した後にまたを見ると










 さっきより目を大きくして驚いていた。











 目ん玉落っことしちゃうよ!























 女子高生らしき女の子の反応に

 俺は多少ビビっていた。







 しかし

 その女子高生らしき女の子は意外にもあっさりしていた。







 「そうなんですか。あ!相葉くんいつも応援してるんで頑張って下さい!」




 と言い残して去って行った。









 「……………」











 なんだかあまりにもあっさりしていて







 さっきまで力が入りきっていた肩の力がストンと抜けた。














 その後


 二人の間にかすかな緊張感が漂った。








 「…怒った?」





 俺は機嫌を伺うかのようにして聞いてみた。








 すると



 「ううん…嬉しかった」






 と言いながらは笑った。




 瞳にはうっすらと涙が溢れていた。



 ダイアモンドの何百倍、いや、何千倍も輝いていて


 とても綺麗な瞳だった。









 「私も隠さなきゃいけないの分かってたけど…
  やっぱり淋しいとこもあってさ…」





 がそう言うと

 溢れていた涙が頬をつたった。







 「…」








 「でも今日ああやって言ってもらえて…本当に嬉しかったよ

  私は雅紀の彼女なんだ。って証明された気分」







 と言いながらはピースのポーズをとった。




 俺もつられて同じポーズをとった。



 二人は顔を合わせて笑った。



















 ねぇ



 またあの時の二人に戻れるよね





 いや、あの時以上の二人だね。

















 もう俺はを隠さない。





 自分に嘘をつかない。














 これでいいんだよね?ニノ









 俺は


 どこかでニノが頷いているような気がした。




















 もう絶対に


 君を傷つけるような事はしないよ






 俺は目の前でひまわりのように微笑むを見て








 強く決心した。


















 大好きだよ、
























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