大丈夫だよ






私はどこにも行かない










あなたの前からいなくなったりしないから






だから




安心して眠ってね。














































































ハックシュン!!









「ちょっと潤大丈夫?」









私は手早く火を消して、手づくりのお粥を運びながら駆け寄った。
















今日は家でのんびり過ごしてます。










というのは嘘で




風邪引きさんの看病に追われてます。















「ねぇ…ちょっとこっち来て?」








「ん・・・・どうした?」








振り返ると

潤は少し辛そうにこちらを見ていた。





「ちょっとそこに座って」



そう言いながら、ベットの横を指差した。










「え?……うん」









私は言われた通り、潤が寝ているベットの横にしゃがんだ。










どうしたんだろ…






今日は甘えん坊さんだね。







なんて喜びながら




「どうした?」






と、ニヤけた顔で聞いてみると





「……………。」







「潤・・・・・・・・・・・・?」










甘い言葉を囁くわけでもなく







遊び疲れた小さなこどものように


潤はスヤスヤと寝てしまっていた。










「……………寝るのかよっ!」





ちょっと三村風に(古)つっこんだところで

私は夕飯を作りに戻った。





「なんで呼んだんだろ…寝ぼけてたのかな?」






なんて、小さく笑いながら


私は切りかけていたトマトを切り始めた。




すると、料理の途中で、牛乳が切れていたことに気付いた。














「いま買いに行って大丈夫かな…」




潤をチラリと見ると、どうやら少し疲れていたようで、

可愛い寝息を立てながら、爆睡してしまっていた。










「大丈夫だよね……ちょっと行ってきま〜す」



小声で挨拶してから、私は部屋を後にした――――――――







































着いたコンビニには、潤が表紙の雑誌があった。

その表紙には、仕事の時しか見せない、潤の表情が写し出されていた。





















「かっこよくない。」






何だか急に焦燥感に襲われた私は、わざとらしくそう、口に出していた。






すると、近くでその本を立ち読みしていた女の子が振り向いた。








読んでいたページは、潤のページ。












あ、…………ヤバイ…。











急に我に帰って、その場から逃げる様に、足早に立ち去った。

購入した買い物袋を握り締めながら、いつも私に見せてくれる

潤の表情を脳裏に思い浮かびさせていた。






















































家に着くなり


…」






今にも泣きそうなくらい揺れている潤の声が聞こえた。







「ど、どどどどうしたの!?どっか痛い?」






私は急いで駆け寄った。









「なんでいねぇんだよ!」





「へ?」




意表をついた言葉に、私が驚いているのをよそに

潤は口を尖らせて言った。



「どこ行ってたの?」






「どこって…牛乳買いに…」







「何やってんだよおまえ〜」












え………………??








何それ?








「潤…何かあったの?」








何が何だか解らない私は、恐る恐る尋ねた。





すると潤は

少しほっぺを膨らました顔を隠しながら









「ここにいろよ…」









「え…何?聞こえなかった」









「牛乳なんかいいから…ちゃんとここにいろよ!」








え…。





「あ………はい…」








甘えてくれてる…のかな。





言われるがままに傍に座ると、潤と目線が同じになって、

潤が少し笑みをこぼすもんだから、少しドキドキしてしまった。









それから、潤はまた瞼を下ろした。







だけど私は料理に戻ろうとは思えず、


潤の傍で、潤の寝顔を見ていた。











夢を見ているのかな…?

潤の目はキョロキョロしていて

その度に、潤の長くて漆黒の睫毛が揺れていた。









暫くしてから、急に潤が私の腕を掴んだ。








「…………潤?」








顔を覗き込んでみると、潤の表情は悲しげだった。












「潤……どうした?」










私は小声で問いかけた。









「………………………………」






「なに……?」








寝言を呟いたみたい。




どんな夢を見ているのか分からないけれど


私は夢の中で不安に駆られている潤に伝えた。











「大丈夫だよ潤…私はここにいるよ?」









そう言いながら

私は潤の腕を握り返した。










すると、潤は少し安心したかの様に

さっきよりも深い眠りについた。











その後は、私もいつの間にか眠ってしまっていて







目を覚ますと、潤が肘をついてこちらを見ていた。









「なに?」






「…別になんでもないよ…気持ち良さそうに寝てたね」









潤は小さく笑った。






雑誌に載ってた笑顔なんかじゃない



私だけの潤の笑顔だった。







「もう風邪…大丈夫?」







「うん…の愛情込もった看病でバッチリ」






「そっか…良かった」





すると、潤は私の髪を撫でて








…」





な、何?




私は不覚にも心臓をバクつかせながら



「なに?」





目を逸らしながら尋ねた。
























「お腹空いた」








…………。







「は?」







「なんか作って」







私は目を点にしながら


「さっきお粥食べたじゃん」




と言ってみるけど。




「それは風邪を治す為に消化したの。」







そ、そうですか…。








「はいはい!分かりましたよ」








私は料理に戻った。


後ろから潤も寄ってきて、潤は私の肩に顔を寄せるようにした。










「今度はなんですか?」






私は潤を見ずに言い放った。






















「いつもありがとう」












そう呟きながら、私を振り向かせて、優しくキスをした。




















「ふ………不意打ち…」









こっち来てって言ったり




どこにも行かないでって言ったり




お腹空いたって言ったり









わがままな私の王子は困ったものです。










私は潤の召し使いですか?










ふてくされようとしていたその時、潤が寝ていた時の寝言が脳裏を過ぎった。




















『…………………………ここにいろよ……』

















あの言葉に…………うそは無いよね?ずっと傍にいてもいいんだよね。

















しょうがないなぁ……………。




やっぱり私は 王子に逆らう事は出来ない





理由ですか?







そりゃあ…








王子ですもん





王子にああやって頼まれたら

頑張るしかしょうがないと思いませんか?










ね!わがまま王子。








































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