友達のちゃんのお話。
・背が小さい。
・頭がいい。
・ホラーものが苦手。
・くしゃみが可愛い。
・とにかく仕草が可愛い。(←決定的)
やっぱり男の人って
こういう女の子が好きなの?
「なんか嫌いなの…!!」
二人、俺の部屋でのんびりしていて、
急にがそう言ったので
俺は一瞬、自分がそう言われたのだと思った。
「えっ……。どこが?」
「こういう性格…。私みたいな性格…!」
の性格…?
「急にどうしたの…?」
俺が驚いたように質問すると
は少しだけ涙目になって
顔を隠すように、目の前にあるコーヒー牛乳を一口飲んだ。
「私の友達のね…。
すごい、女の子!って感じの子なの。
見た目ももちろん可愛くて、
背がちっさくて、頭もよくて、
素直でとってもいい子で…。」
「うん…それがどしたの。」
「…………。」
まだ分かんないの?と思わせる視線を訴えた後
下を向いて、泣きそうな顔をした。
「それに比べて…私は素直じゃないし
可愛くないし、口悪いし…。
なんか…その子見てて…私が…嫌になった。」
「……。」
は気が強いくせに
結構そういうデリケートな部分があって
たまにこうして落ち込む事があった。
「和也も…もっと可愛い子が好きでしょ?」
「…え?」
「もっと、ちまっとしてて、ガサツじゃなくて、
守ってあげたくなるような…
女の子らしいコが好きでしょ?」
「守ってあげたくなるか………いいかもね。」
「え……っ!!」
こんな時にこんな事言ったら
が余計落ち込むのは見えていたのに
あまりに女の子らしい悩みで悩むを見ていると
つい、からかいたくなってしまった。
そしたら案の定このリアクション。
「やっぱり…そういう子が好きなんだ…」
完全にそっぽ向いてしまった。
そういう可愛い所、
なんでは気付かないのかな。
は、自分では自身のことを
可愛くないとか、女の子らしくないとか言うけど……。
「…可愛い。」
「は!?」
さっきの言葉で素直にショックを受けてるが面白くて
笑い混じりでそう言うと、は怒ったような顔をして
でも明らかに、頬の色は赤く染まっていってた。
「真面目に聞いてよ!」
「聞いてるよ」
いつも気が強いくせに
意外と落ち込みやすい性格で
「可愛い」とか言うとすぐに照れるし
「が可愛くないなんて、有り得ないね」
「でも…私を守ってあげようとは思わないでしょ?」
「守りますとも。」
「料理も上手じゃないし…」
「俺が作るよ。つーか涙目で抵抗しないで」
「…なんで?」
「…可愛いから」
その瞬間、気が抜けたようにほころんで
の瞳からポロリと、雫が落ちた。
「…かず…さっきからそればっかだよ」
ようやくの顔にも笑顔が戻って来たのを確認した俺は
をぎゅっと抱きしめて
まだ渇ききらないの涙を想い、
頭をポン、ポン、とゆっくり叩いて、優しく撫でた。
「だって本当の事だもん。俺に嘘ついた事あったっけ?」
そう言うとは、鼻をすすって
「ある…」と小さな声で反抗した。
「赤いスイカは着色料が入ってる。って私に信じ込ませようとしたじゃん」
「あーれーは、が俺の分のスイカも食べようとしてたから、ちょっとした正当防衛だよ。」
「…正当防衛って…」
俺の胸の中で、零れるものが涙から笑顔に変わったを見て、
もう一度頭に手を伸ばし
今度は、手をグーにしてコツンと突いた。
「痛い」とが言い終わる前に、俺はに正直な気持ちを伝えた。
「はらしく、そのままでいんだよ」
「…え?」
は上を向いて、俺を見た。
「好きなのに理由なんてない。だから好きなんだよ。」
「かず……」
「言っとくけど俺のタイプはね、
くそ生意気で意地っ張りで、
ホラー映画とかも大好きで
料理も出来ない泣き虫だからね。」
「それ…イヤみ?」
「すっげぇイヤみ。でも本当だよ」
あまりにも女の子っぽい人!ってのが苦手ってのも多少あるけど
には出会った時から、
性格もなにも知らない時から、
ずっと、きっと…惹かれていたんだ。
「だからもう、自分が嫌になったとか言うなよ。
俺が好きになった女なんだから、もっと自信持っていいんだよ。」
「うわ!エラソー…」
のいつもの調子が出て来たと思って
もう一回小突いてやろうと顔を見ると
は静かに、胸に顔を埋めて泣いていた。
「泣くなよ〜」
「だって和也が…嬉しかった…から…」
俺は仕方なく、突こうとしたグーをパーに戻して、また優しく、髪を撫でた。
それからは暫くして泣き止んだけど
赤くなった顔と目を隠そうとして
中々俺に顔を見せてくれなかった。
「見せて下さいよ泣きっ面」
「和也のアホ!バカ!」
はいはい、となだめながら
顔を隠していた手を解いた。
ぎゅっと目を強くつむるの、頬を少しつねって
それでが目を開いた瞬間に、キスをした。
唇は少し涙の味がした。
涙も、さっきの悲しみも全部ぜんぶ取り除くために
俺は優しく、にキスを続けた。
世の中の人間がほとんど、きっと
自分に自信が無くて、他人の事を羨ましく思うのかもしれない。
自分がこうでなければ、あの人は私を好きにはなってくれない。
そうやって変わる事も、悪いとは思わない。
でも、自分を無くす事はしないでほしいと思う。
自分自身を、全てを好きでいてくれる人が
きっと何処かにいる筈なんだ。
それを信じて、どうか自分を嫌いにならないでほしい。
は自分を嫌だと言ったけど、
同じような性格の俺を好きでいてくれてる。
それだけで嬉しかった。愛しいと思えた。
だから俺は堂々と言えるんだ。
が俺を好きだと言ってくれるように
俺も自分が、が……大好きだよ。