の住むマンションに着く頃には
既に涙は渇いてた。
代わりに俺の心には
堅い決心が出来上がっていた。
でも堅い決心とは逆に
多少の恐れもあった。
急に会いに来た俺に
どんな反応を示すだろうか。
部屋に行った時、
他に男がいたら?
俺はどうすればいい?
それでもと話をするか?
恐れをなして逃げるか?
それはあまりにカッコ悪くねぇか?
なんてぶつぶつ考えていると
の部屋に着いてしまった。
震える手で
ベルを押した。
「は〜い」
ドクン…
三日ぶりのの声が
胸に響いた。
目の前にがいる。
あと何秒もせずに目の前に
愛する人が現れる。
第一声はなんと言おうか。
いきなり抱きしめたら
困惑させるだけだろうか。
そんなことを考えているうちに
ずっしりとしたドアが開いた。
「…和也………。どうしたの?」
男はいないようだった。
多少安心したのはいいが
それと同時に
凄まじい緊張が高まっていった。
コンサートでもこんなに緊張しないのに
「あ、いやその…会いたくなったから……来てしまいました。…駄目でしたか?」
うわ!なんだこの第一声!!
女々し過ぎるだろ!!
「駄目っていうか……私達もう別れたんだよ?」
ごもっともです。
しかしその強気な態度とはうらはらに
は涙を堪えているようだった。
「もう会いたくないって言ったでしょ?」
「でも俺は会いたかったんだよ!」
「和也…」
「に…会いたくなったんだ」
に拒否られてもいい
会いたくなったんだ。
「何でが俺を嫌いになったのか…ちゃんと聞きに来たんだ。
ほら、あの時俺さ、びっくりしてて…ぼーっとしてたからさ……。」
嘘だ。
俺はただに会いたかったんだ。
を抱きしめたかったんだ。
何の理由もない。
「和也が……」
「え?」
「和也があまりにも…大きすぎるから…眩しいから…」
「……」
「だから…私が…分からなくなったの…。」
は泣いていた。
俺はこんなにも
を追い詰めていたなんて……。
なんてこった…
泣かすつもりなんてなかったのに……。
「…!」
俺は強くを抱きしめた。
会えなかった三日間をムリヤリ埋めるかの様に…
強く抱きしめた。
「…?」
「…はい…。」
「俺は…そんなにすげぇ男じゃない。
こうしてる今だって…いつに振りほどかれるかって……怯えちまってるし…。
何よりの事…泣かせちゃったしね。」
「和也……」
ほんとごめんな…。
「さん……」
ズビッ
と、鼻を啜りながらは返事をした。
「…はい…。」
「もう俺の事…嫌いになった?」
は
首を大袈裟なくらい横に振った。
「そっか…。良かった」
「和也・・・。ごめんなさい!」
は子供の様に泣いていた。
「お前うるさいよ!近所迷惑。」
俺は笑いながら言った。
「だって…和也が泣かすから〜」
「分かった、分かったからもう泣くなよ。
顔ぐちゃぐちゃだぞ?」
「………嫌いになった?」
「へ?」
は、
和也はどうなのさ?的な
顔をして俺を見ていた。
俺が滅多に言わない
あの言葉を言わせる気なのだろう。
でも口にするにはやっぱり照れくさかったので
俺はのおでこにキスをした。
嫌いになんかなる筈がない。
ここまでお前の事を愛し過ぎてるのに。
「分かりましたか?」
「…分かんない。」
全くこのお姉ちゃんは…!
「じゃあさ、」
「うん♪」
「部屋に入れてくれたら教えてあげますよ?
俺がどんだけの事好きか。」
は、
なんだそれ?という顔をしながらも
俺を部屋に招き入れてくれた。
俺は本気ですよ?
だって外すげー暑かったからさ(ハイ言い訳!)
その後は皆さんには秘密です。
俺のソロ曲も秘密です(だから何だよって感じですかね)
甘い時間を過ごしたってのは最大のヒントです。
でもそこから先を解き明かそうとは
しないで下さい。
そこから先は
二人だけの秘密ですから。
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