あの虹はどこまで続いているのかな?
え?
全長約なんたらメートル?
そんな夢もロマンもないようなこと言わないの。
あの虹はさ、俺とを繋いでるんだよ。
こう言えばちょっとはロマンチックに聞こえるっしょ?
あの虹を越えて
「…今日も会えないの?」
風邪で弱っている電話越しでのの声は
すごく寂しそうだった。
「ごめん…今日の収録さ、結構長引くらしいんだ」
「そっか…じゃあしょうがないね。
仕事頑張ってね…」
( スタンバイお願いしま〜す! )
スタッフの声が楽屋に響いた。
嵐の面々が、楽屋からスタジオへと出ていこうとしていた。
「ホントにごめんな。じゃあ、行ってくるよ…
ちゃんと寝てろよ?」
「うん…」
そうして
俺はズルズルとへの罪悪感を背負いながら
携帯の電源ボタンを押した。
スタジオに入ると
雨で濡れた窓が目に留まった。
「今日は雨か…」
そうため息混じりで呟いた俺の隣で
大野くんが不思議そうにこちらを見ていた。
「何?」
「いや…別に…」
「なんだよ大野くん気になるじゃ〜ん!」
そういうと大野くんは
少し下向きになって話し始めた。
「いやさ、最近…ちゃんと会ってないみたいだから…
落ち込んでないかと思って…。」
大野くんはモニターを見ながら言った。
なんだよ…
ちょっとリーダーっぽいじゃん。
「うん…確かにちょっと寂しいかもね…」
ここはお言葉に甘えて
ちょっと弱気になってみた。
「そっか…」
……………。
あれ?
沈黙出来ちゃったよ。
聞いただけなんだ。( ̄〜 ̄;)
確か前にも相談中に寝てたな。
(只今デート中より)
はぁ・・・。
俺はまた一つため息をついた。
そうした中収録は順調に進んでいき
俺はさっきの窓を見た。
雨は先程より勢力を増しており、
余計に強く降りしきっていた。
…
俺の通い慣れたアパートで
一人ぽつんと雨を眺めてるの姿が目に浮かんだ。
に会いたい。
風邪大丈夫かな、…。
夜遅くから始まった収録は
それから朝まで続き
終わる頃には
外がどことなく明るく見えた。
時刻は午前5時。
まだ寝てんだろうな…。
そう思いながら俺は帰る準備をしていた。
その時
「ねぇ、ちょっと窓見てきてみ?」
大野くんが嬉しそうに伝えてきた。
「え?…うん」
俺は
大野くんの言葉を不思議に思うとともに
多少のめんどくささを感じながらも窓の方に向かった。
「あ…虹だ・・・・・・・・・。」
なんと
さっきまでうるさいほど激しく降っていた豪雨は止み
空には
虹が架かっていた。
俺はその虹を渡って
のもとへ行きたくてしょうがなかった。
俺は落ち着きが取り戻せず
無意識と言ってもいいほど自然に
携帯の通話ボタンを押していた。
「もしもし、?…おはよう」
はまさに、今起きたばかりのようだった。
「おはよ…えらく早いね。
朝のラブコールですか?」
あくび混じりでは言った。
俺は小さく笑いながら
愛のラブコールを続けた。
「、外見てみ?すごいよ!」
「え…外?」
するとは
先程の俺のようにめんどくさそうな空気を漂わせながら
部屋の窓を開けた。
「…見た?」
「…うん。」
「すごくない?虹。」
「…すごいね。・・・すごいキレイ!」
の返事を待つ時間の度に
窓を吹き抜ける冷たい風の音が聞こえた。
そこでやっと俺は
が風邪を引いているのを思い出した。
「あ、ごめん!
寒かったら中に入ってなきゃだかんな?」
電話越しでは
小さな
それは反則ではないか?というほど可愛いくしゃみをした。
「大丈夫だよ。虹がキレイなんだもん!ずっと見てたい…」
「大丈夫じゃないだろ?
今くしゃみしたじゃん」
「してない!」
「した!」
「してない!」
「したろ〜?」
「してないも〜ん」
と言いながらは
もう一つくしゃみをした。
「ほら。ちゃんと中に入ってろよ?」
「…は〜い…」
ガラガラガラガラ…ピシャ。
窓をしめる音とともに
何かが俺の心を締めつけた。
カラダが
心が
気持ちが
に会いたいと叫んでいた。
「今から…」
「ん?」
こんな時
素直に
「会いたい」なんて
飾らずに言えると違って
ぶっきらぼうな俺なんかが言えるのはこれくらい。
「今から…風邪で弱ったをいじめに行かせてもらうから。………待ってろよ」
すると
は小さく笑って
「分かった!覚悟してま〜す」
とおどけた。
そしては電話を切った。
俺も口をゆるめながら電源ボタンを押した。
今度は
に会える嬉しさでいっぱいだった。
…
いつも待たせてごめんな?
今から会いに行くから…
この色鮮やかな虹を渡って
愛しくて仕方が無い君に
会いに行くから。
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